法人カーリースで社用車を導入・入替するときの進め方
営業車や配送車、現場車など、社用車の導入や入替は、台数や用途、社内の管理体制によって進め方が変わります。ここでは、法人でカーリースを検討する際の基本的な進め方を整理します。
法人カーリース導入の進め方
社用車をカーリースで導入・入替するときは、次の順に進めます。
- 用途、台数、走行距離、今の車両の状況を整理する
- 用途ごとに車種を選び、リースと購入の費用・手間を比べる
- 複数社から見積もりを取り、メンテナンスの範囲や契約条件を比べる
- 審査を受けて契約する
- 今の車両の処分日と、新しい車両の納車日を合わせる
- 導入後の管理方法(点検、満了日、走行距離)を決める
手間がかかるのは5の調整です。今の車両を手放す日と新しいクルマの納車日がずれると、クルマが足りない日や、2台分の費用が重なる月ができます。
社用車のリースはどれくらい使われているか
日本自動車リース協会連合会によると、2026年3月末時点の全国のリース車保有台数は437万台を超え、「道で見かける車の20台に1台(5%)以上はリース車」です※1。リース事業協会の会員を対象にした調査では、2025年3月末時点で287万825台(前年同期比101.0%)のうち、メンテナンス込みのメインテナンス・リースが189万1,055台を占めます。車種別では乗用車が51.9%、トラックが38.5%です※2。二つの数字は集計の対象と時点が違います。
矢野経済研究所は、法人向けのオートリースは2024年3月末にコロナ禍前をわずかに上回る水準まで回復し、今後は横ばいから微増が続くと見ています※3。
最初に整理する項目
| 項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 用途 | 営業、配送、訪問、現場移動、送迎、役員車など |
| 台数と時期 | 新規導入、増車、入替のどれか。いつまでに必要か |
| 1台あたりの走行距離 | 月の平均。拠点や担当者で差が大きいなら車両ごとに |
| 運転する人 | 固定か共用か。人数 |
| 今の車両 | リースの満了日、車検の時期、売却するか返却するか |
| 管理の担当 | 総務、各部署、外部委託のどれで管理するか |
用途ごとの車種の選び方
| 用途 | 重視すること | 候補になりやすい車種 |
|---|---|---|
| 訪問営業 | 小回り、燃費、駐車のしやすさ | 軽自動車、コンパクトカー |
| 配送 | 荷室の広さ、積載量、乗り降りのしやすさ | 軽バン、商用バン |
| 現場・資材運搬 | 積載量、荷台の形 | 軽トラック、小型トラック |
| 送迎 | 乗車定員、乗り降りのしやすさ | ミニバン |
| 役員車・来客対応 | 乗り心地、見た目 | セダン、上級ミニバン |
複数台を入れるときは、車種をそろえると操作の違いによる戸惑いが減り、消耗品や点検の時期もまとめやすくなります。用途がばらばらなら、無理にそろえず用途ごとに選びます。軽バンを配送に使う場合の詳細は軽バンをカーリースで使うときの記事で説明しています。
リースと購入の比較
| 項目 | 購入 | カーリース |
|---|---|---|
| 導入時の支出 | 車両代金と諸費用をまとめて支払う、またはローン | 頭金なしで月額払いが多い |
| 毎月の支出 | ローン返済、税金・車検・修理費が不定期に発生 | メンテナンス込みなら定額 |
| 税務上の扱い | 減価償却(軽自動車4年、その他の自動車6年) | 所有権移転外リースはリース期間定額法で償却(後述) |
| 車両管理 | 自社で点検・車検・税金・保険を管理 | 点検・車検・税金の手配をリース会社に任せられる |
| 途中で手放す | いつでも売却できる | 原則中途解約できない |
| 総支払額 | 安くなりやすい | リース会社の手数料などの分、高くなりやすい |
耐用年数は国税庁の表によります(一般用の小型車は4年、その他の自動車は6年)※4。総額だけで比べると購入のほうが安くなるのが普通ですが、リースは導入時の資金を残せること、毎月の車両費を一定にできること、管理業務を減らせることで選ばれています。たとえばオリックス自動車は「車両の調達、定期点検、車検、各種税金の支払い、事故対応など、車両に関わる管理業務の大半をパッケージ化しています」と案内しています※5。
税務と会計の扱い
税務:リース料を賃借料として処理した場合
法人税では、中途解約が禁止されている、または解約するときに残りの期間のリース料のおおむね全部(原則90%以上)を払う契約などは「リース取引」にあたります※6。そのうち所有権移転外リース取引は、税務上は引き渡しの時に売買があったものとされ、リース期間定額法で償却します※6※7。ただし、法人がリース料を賃借料として損金経理した場合、その金額は「償却費として損金経理をした金額に含まれます」とされています※6。毎月のリース料を賃借料として処理しても、税務上は償却費として扱われるということです。
消費税は、原則として引き渡しを受けた課税期間に一括で控除しますが、賃貸借処理をしてリース料を払う課税期間ごとに控除(分割控除)している場合は「これによって差し支えありません」とされています※8。
会計:新しいリース会計基準
企業会計基準委員会は2024年9月13日、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」を公表しました。2027年4月1日以後に始まる事業年度の期首から適用され、2025年4月1日以後に始まる事業年度からの早期適用もできます※9。この基準では、借り手は原則としてリースを資産と負債に計上します。
対象になるのは主に上場会社などです。リース事業協会は「上場会社は、新リース会計基準が強制適用されます」「未上場会社(中小会社)は、新リース会計基準が強制適用されません。従来通りの会計処理を継続できます」と説明しています※10。会計基準の本文でも、中小企業では「中小企業の会計に関する指針」や「中小企業の会計に関する基本要領」が使われるとされています※9。上場会社などが適用する場合も、リース期間が12か月以内の短期リースや、1件あたりのリース料総額が300万円以下の少額リースには簡便な扱いが用意されています※9。
自社がどの基準で処理するかは、顧問税理士や監査法人に確認してください。
見積もりで比べるポイント
- 月額に含まれる範囲(税金、車検、点検、消耗品、任意保険)
- メンテナンスの入庫先(全国の拠点で受けられるか)
- 走行距離の上限と超過時の精算方法
- 中途解約の条件と解約金の計算方法、全損時の扱い
- 事故や故障のときの連絡先と、代車の有無
- 満了時の選択肢(返却、再リース、買取)
- 複数台の契約をまとめて管理できるか(請求書、満了日の一覧など)
同じ車種・同じ条件で複数社から見積もりを取ると、月額の差だけでなく、含まれる範囲の違いも見えてきます。
審査で見られること
法人向けの審査では、経営状況、事業年数、債務残高などが見られることが多いとされています※11。民間の解説では、決算書や確定申告書の提出を求められる例が紹介されています。審査の基準はリース会社ごとに非公開なので、必要な書類は申し込み前に確認します。
入替のスケジュールの組み方
新しいクルマの納車までの期間は、新車なら1〜2か月程度、人気車種ではさらにかかることがあり、中古車なら在庫があれば1〜3週間程度で納車される例もあります※12。既存の車両がリースなら満了日、所有車なら売却日から逆算して、いつ発注すればよいかを決めます。
既存のリース車両を満了前に入れ替えたい場合、カーリースは原則として中途解約できず、解約できる場合も通常は解約金がかかります※13。入替は満了日に合わせるのが基本です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3〜4か月前 | 用途・台数の整理、見積もり依頼 |
| 2〜3か月前 | リース会社の決定、審査、契約 |
| 1〜2か月前 | 納車日の確定、既存車両の売却先・返却日の調整、保険の入替準備 |
| 納車日 | 新車両の受け取り、既存車両の引き渡し、保険の切り替え |
台数が多い場合は、一度に全部入れ替えるか、満了日の近い車両から順に入れ替えるかも決めておきます。
導入後の管理の手間を減らす
台数が増えると、車検と点検の時期、リースの満了日、走行距離、事故の対応と、管理する項目が増えます。次のような方法で手間を減らせます。
- メンテナンス込みのプランにして、点検や車検の案内をリース会社から受ける
- 契約の満了月をそろえて、入替をまとめて行う(逆に、作業が集中しないよう満了月を分散させる方法もある)
- 車両ごとの満了日・車検日・走行距離を一覧にして共有する
- 運転日報で走行距離を記録し、上限を超えそうな車両を早めに把握する
よくある質問
Q. 社用車をリースにすると何が楽になりますか?
A. 購入時のまとまった支出がなくなり、税金や車検費用を含めて毎月定額にできるプランなら、車両費の予算が立てやすくなります。点検や車検の手配もメンテナンス込みならリース会社の案内に沿って進められます。
Q. 中小企業も新しいリース会計基準に対応する必要がありますか?
A. 強制適用されるのは主に上場会社などで、未上場の中小会社は従来どおりの会計処理を続けられます※10。
Q. リース料は経費(損金)にできますか?
A. 法人がリース料を賃借料として損金経理した金額は、償却費として損金経理した金額に含まれるとされています※6。具体的な処理は顧問税理士に確認してください。
Q. 途中で台数を減らせますか?
A. カーリースは原則として中途解約できず、解約できる場合も通常は解約金がかかります※13。台数を減らす可能性があるなら、契約期間を短めにするか、満了月を分散させておきます。
Q. 決算月に合わせて導入できますか?
A. 納車までの期間から逆算して発注すれば合わせやすくなります。新車は数か月かかることがあるので、中古車も候補に入れると選択肢が広がります。
Q. 購入した社用車の耐用年数は何年ですか?
A. 一般用で、軽自動車(総排気量0.66リットル以下)は4年、その他の自動車は6年です※4。
参考・出典
- ※1 日本自動車リース協会連合会「急ピッチに成長する自動車リース」
- ※2 リース事業協会「車種別リース車保有台数調査結果[2025年3月末日現在]」
- ※3 LOGISTICS TODAY(矢野経済研究所のオートリース市場調査)
- ※4 国税庁 確定申告書等作成コーナー「耐用年数(車両・運搬具)」
- ※5 オリックス自動車「車両利用」
- ※6 国税庁 タックスアンサー「No.5702 リース取引についての取扱いの概要」
- ※7 国税庁 タックスアンサー「No.5704 所有権移転外リース取引」
- ※8 国税庁 質疑応答事例「所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い」
- ※9 企業会計基準委員会 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表(2024年9月13日)
- ※10 リース事業協会「新リース会計基準について-借手側の会計処理-」(2024年12月)
- ※11 MOTA「カーリースの自社審査のメリットは?審査基準や落ちた場合の対処法も紹介」
- ※12 MOTA「カーリースは新車と中古車どちらがよい?メリット・デメリットを徹底比較!」
- ※13 国民生活センター「カーリースに関する消費者トラブルにご注意!」(2025年9月17日)
